「自律神経が乱れていますね。」最近、この言葉を耳にする機会が本当に増えました。施術中にも、「病院でそう言われました」「ネットで調べたら、自律神経が原因かもしれないと思って来ました」と話される方が多くいらっしゃいます。もちろん、自律神経は私たちの体調に大きく関わっています。ただ、私が少し気になるのは、「自律神経は乱れてはいけないもの」と思っている方がとても多いことです。
実は、自律神経は乱れること自体が悪いわけではありません。朝起きて活動を始める。仕事や家事に集中する。運動をする。緊張する。驚く。こうした場面では、身体は活動しやすい状態へ切り替わります。
反対に、食事をした後やお風呂に入っている時、眠る前には身体を休ませる働きが強くなります。つまり、自律神経は一日中変化しています。変化することが異常なのではなく、その変化こそが本来の働きなのです。
「乱れること」よりも、「戻れないこと」
施術をしていて感じるのは、体調を崩している方ほど「頑張り過ぎている」というより、「休む状態へ切り替えられなくなっている」ことです。仕事が終わっても仕事のことを考えている。家に帰ってもスマートフォンを見続けてしまう。布団に入っても頭の中では明日の予定を考えている。こうした毎日が続くと、身体は休もうとしているのに、気持ちは活動したままという状態になりやすくなります。
疲れているのに眠れない。
しっかり寝たはずなのに疲れが抜けない。
休日なのに身体が休まらない。
このような状態は、「身体が休むスイッチを入れにくくなっている」のかもしれません。
アクセルもブレーキも、どちらも必要です
自律神経は車に例えられることがあります。活動するときはアクセル。休むときはブレーキ。どちらか一方だけでは車は安全に走れません。
身体も同じです。仕事や運動を頑張ることは決して悪いことではありません。しっかり活動した後に、しっかり休めること。その切り替えができる身体であることが大切だと私は考えています。
「自律神経を整える」ことだけを目標にしない
「自律神経を整えたいんです。」そうお話しされる患者様も多くいらっしゃいます。もちろん、それは間違いではありません。ただ、自律神経は目に見えるものではなく、自分の意思で直接コントロールできるものでもありません。だからこそ、「自律神経を整えよう」と意識し過ぎることで、かえってストレスになってしまうこともあります。それよりも、食事や睡眠、適度な運動、呼吸を意識すること。
長時間同じ姿勢を続けないこと。
忙しい毎日の中でも、少し身体を休ませる時間をつくること。
こうした積み重ねが、結果として自律神経が働きやすい身体につながっていくのだと思います。
当院が大切にしていること
当院では、「自律神経だけ」を見ることはありません。首や肩の緊張、姿勢、呼吸の状態、身体の動かし方など、お身体全体を確認しながら施術を行っています。自律神経という言葉だけにとらわれるのではなく、「なぜ今の身体の状態になっているのか」を一緒に考えることを大切にしています。
まとめ
私は、「自律神経を整えましょう」という言葉はあまり適切ではないと考えます。患者さんにわかりやすい表現として使う場合はありますが、それよりも「身体が自然に休める状態をつくる」ことの方が大切だと考えています。自律神経は乱れてはいけないものではありません。活動するときはしっかり活動し、休むときはしっかり休む。その切り替えを繰り返しながら、私たちの身体は毎日働いています。
最近、「休んでも疲れが取れない」「何となく調子が戻らない」と感じている方は、自律神経を必要以上に意識する前に、ご自身の生活や身体が「休める状態」になっているかを振り返ってみてはいかがでしょうか。