「姿勢には気を付けています。」当院で施術をしていると、このようなお話を伺うことがあります。
近年はテレビやインターネットなどで姿勢の重要性が紹介される機会が増え、「背筋を伸ばすことが良い姿勢」「猫背は悪い姿勢」というイメージを持たれている方も少なくありません。もちろん、姿勢は身体にとって大切な要素の一つです。しかし、施術を通して感じるのは、「良い姿勢を維持しよう」と意識するあまり、身体に余計な力が入り、かえって疲れや痛みにつながっているケースもあるということです。
当院では、姿勢は「頑張って維持するもの」ではなく、「身体への負担をできるだけ少なくするためのもの」と考えています。
身体は同じ姿勢を続けることが得意ではありません
どれほど理想的と言われる姿勢であっても、その姿勢を長時間続ければ筋肉には負担がかかります。反対に、少し姿勢を変えたり、身体を動かしたりすることで、負担は一か所に集中しにくくなります。
肩こりや腰痛で来院される患者様の中には、「姿勢が悪いから痛くなった」と考えている方が多くいらっしゃいます。もちろん姿勢が影響することはありますが、それ以上に、「同じ姿勢を長時間続けていること」が身体への負担になっていることも少なくありません。そのため当院では、「正しい姿勢を維持すること」よりも、「身体が無理なく動ける状態を保つこと」を大切にしています。
日常生活の中には、身体へ負担がかかりやすい場面があります
例えば、デスクワークをされる方の中には、椅子の高さが合わず、足裏が床にしっかり着いていない状態で仕事をされている方や、足は届いているのにちゃんと足の裏が床面についていない姿勢の方がいらっしゃいます。足が浮いたままでは身体を安定して支えることが難しくなり、骨盤が後ろへ倒れやすい姿勢が続くことがあります。その状態が長時間続けば、腰や背中への負担も大きくなります。椅子の高さを調整することが難しい場合でも、足台を使って足裏をしっかり支えられるようにするだけで、座った姿勢は安定しやすくなります。
また、草むしりのように地面に近い場所で作業をする時も注意が必要です。服を汚したくないという理由から、中腰の姿勢を続ける方も少なくありませんが、この姿勢は腰への負担が大きくなりやすい動作の一つです。膝当てや古いタオル、防水シートなどを活用し、片膝や両膝を地面につけながら作業を行うことで、腰への負担を軽減しやすくなります。
小さなお子さんのお世話でも同じことが言えます。抱き上げたり、おむつ交換をしたりする際に、立ったまま前かがみになる姿勢が続くと、腰には大きな負担がかかります。そのような場面では、ご自身が片膝や両膝を床につき、お子さんとの高さを合わせるようにすると、腰を無理に曲げることなく動作を行いやすくなります。
日常生活のほんの少しの工夫が、身体への負担を減らすことにつながります。
身体のクセは「直すこと」だけが目的ではありません
「足を組まないようにしています。」「同じ肩でバッグを持たないようにしています。」
姿勢を意識されている方ほど、このようなお話をされることがあります。もちろん、一つの姿勢や動作を長時間続けることは、身体への負担につながる場合があります。一方で、身体には利き手や利き足があるように、一人ひとり使いやすい動きがあります。そのため、身体のクセそのものを悪いものと考えるのではなく、「そのクセによって一か所へ負担が集中していないか」を確認することが大切です。
当院でも、お身体の動きや生活習慣を確認しながら、その方に合った身体の使い方をご提案しています。
無理なく続けられることが、身体にとって一番大切です
身体は、無理をして良い姿勢を保つよりも、自然に動きながら負担を分散できる状態を好みます。一時間に一度立ち上がることでも構いません。軽く背伸びをするだけでも構いません。大切なのは、「身体を固めないこと」です。
特別な運動を始めることよりも、日常生活の中で身体への負担を少しずつ減らしていくことが、将来の肩こりや腰痛の予防にもつながります。
まとめ
姿勢を意識することは大切ですが、「良い姿勢を維持し続けること」が目的ではありません。デスクワークでは足裏をしっかり床につけること、草むしりでは膝をついて作業をすること、お子さんのお世話ではご自身が膝をついて身体の高さを合わせることなど、日常生活の小さな工夫が身体への負担を減らします。
当院では、一人ひとりの生活習慣や身体の使い方を大切にしながら、無理なく続けられる方法をご提案しています。毎日の姿勢を少し見直すことが、身体を整える第一歩になるかもしれません。