「痛みはだいぶ良くなったんです。でも、何となく怖くて動かせないんです。」
施術をしていると、このようなお話を伺うことがあります。痛みはほとんどなくなっている。それでも、重だるさが残る。違和感がある。「また痛くなるかもしれない」と思ってしまう。こうした状態は決して珍しいことではありません。
痛みがなくなることと、元のように動けることは同じではありません
腰を痛めた経験がある方は、立ち上がる時に慎重になることがあります。肩を痛めた方は、高い所に手を伸ばす時にためらうことがあります。膝を痛めた方は、階段を下りる時に無意識にゆっくりになります。これは「気のせい」ではありません。
痛みがあった時に身体を守るために身についた反応が、そのまま残っていることがあるからです。身体にとっては、その動きが「安全な動き」として記憶されているのかもしれません。
「まだ治っていない」とは限りません
患者様の中には、「まだだるいから治っていないんですよね。」と不安になる方もいらっしゃいます。もちろん、症状が続いている場合には原因を確認することが大切です。一方で、組織の回復が進んでいても、動きに対する慎重さや違和感がしばらく残ることは、臨床でもよく経験します。だからといって、「もう治らない」ということではありません。
身体は少しずつ、「この動きはもう大丈夫なんだ」と学び直していくことができます。
当院で大切にしていること
当院では、「痛みがあるかどうか」だけで判断することはありません。どのような動きで不安を感じるのか。どんな場面で力が入ってしまうのか。動き方に変化はあるのか。そうしたことも確認しながら、お身体全体の状態をみています。
「痛みは減ったけれど、何となく動きにくい。」
その背景には、身体が今まで頑張ってきた名残が残っていることもあります。だからこそ、焦って元に戻そうとするのではなく、お身体の状態に合わせながら少しずつ動きを取り戻していくことが大切だと考えています。
まとめ
痛みがなくなっても、だるさや違和感、不安が残ることがあります。それは必ずしも「治っていない」という意味ではありません。身体は痛みだけではなく、その時の動き方や身体を守る反応も覚えています。そのため、回復には「痛みがなくなること」と「安心して動けるようになること」の両方が必要な場合があります。
「痛みはないのに、何となく動かすのが怖い。」
そんな時は無理に我慢するのではなく、ご自身の身体がどのような状態なのかを知ることも大切ではないでしょうか。