「今日のお身体の調子はいかがですか?」施術前にこのようにお聞きすると、「普通です」と答えられる方が少なくありません。
ところが詳しくお話を伺うと、「朝起きると腰が痛い」「肩はいつも重い」「首は回しにくい」「立ち上がる時に膝が痛む」といった症状があることも珍しくありません。つまり、その方にとっては「痛みがある状態」が普通になっているのです。
これは決して珍しいことではありません。私たちの身体や脳には、長く続く刺激に慣れていく性質があります。そのため、不調が改善したわけではなく、「これくらいなら当たり前」と感じるようになってしまうことがあるのです。
「痛みがない」と「気にならない」は違います
身体に痛みや違和感があると、最初のうちはとても気になります。しかし、その状態が何か月、何年と続くと、少しずつその感覚に慣れてしまいます。以前なら気になっていた肩こりも、「仕事をしていればこんなもの」。
朝の腰の痛みも、「年齢的に仕方がない」。
首の動かしにくさも、「昔からだから」。
そんなふうに考えるようになり、不調を特別なものではなく、日常の一部として受け入れてしまうことがあります。でも、それは「治った」ということではありません。単に、身体の状態が"普通"になってしまっただけなのです。
身体は小さな変化を教えてくれています
身体は突然悪くなることばかりではありません。以前より疲れやすい。長く歩くのが少しつらい。振り向く時に首が動かしにくい。階段を避けるようになった。こうした小さな変化は、毎日少しずつ起こるため、自分では気付きにくいものです。だからこそ、「痛みがあるかどうか」だけではなく、「以前と比べて身体はどう変わったか」という視点が大切になります。
「年齢だから」で終わらせないために
患者様から、「もう年齢だから仕方ないですよね。」と言われることがあります。もちろん、年齢とともに身体は変化します。しかし、年齢だけが原因とは限りません。身体の使い方や筋肉の状態、関節の動き、生活習慣などが影響していることも多くあります。
「昔からだから」「年齢だから」と思っていた症状が、身体の状態を見直すことで楽になるケースも少なくありません。
当院が大切にしていること
当院では、「どこが痛いか」だけではなく、「その症状がいつから当たり前になっているのか」ということも大切にしています。痛みが強い人だけが不調とは限りません。長年付き合ってきた肩こりや腰痛を、「普通」と感じている方も多くいらっしゃいます。そのため、お身体全体の動きや姿勢、筋肉の状態を確認しながら、今のお身体がどのような状態にあるのかを一緒に確認していきます。
ご自身では気付かなかった変化を知ることが、身体を見直すきっかけになることも少なくありません。
まとめ
私たちの身体は環境に適応する力を持っています。そのため、長く続く痛みや違和感は、「改善した」のではなく、「慣れてしまった」だけということがあります。もし、「普通です」と答えながらも、思い返せば肩や腰、首に痛みや違和感があるのであれば、それは本当に"普通"なのでしょうか。
身体の変化は、ある日突然始まるものではありません。当たり前になっている不調に気付くことが、健康な身体を維持するための第一歩になるのではないでしょうか。