「先生は、どうして施術の前に身体を動かしたり、痛い場所を押したりするのですか?」
患者様から、このようなご質問をいただくことがあります。
確かに、「鍼を受けに来たのだから、すぐに施術を始めればいいのでは?」と思われるかもしれません。
しかし、当院では施術そのものと同じくらい、施術前後の「評価」を大切にしています。
今回は、その理由についてお話ししたいと思います。
同じ症状でも、身体の状態は一人ひとり違います
例えば、「肩が痛い」という症状一つをとっても、その原因や身体の状態は人によって異なります。
肩を動かした時だけ痛みが出る方もいれば、じっとしていても痛みを感じる方もいます。首の動きが影響している方もいれば、姿勢や身体全体のバランスが関係していることもあります。
「腰が痛い」「頭痛がある」という場合も同じです。症状の名前は同じでも、お身体の状態まで同じということはほとんどありません。だからこそ、施術を始める前に、まず現在のお身体の状態を確認することが大切だと考えています。
評価とは「悪いところを探すこと」ではありません
「評価」という言葉を聞くと、「どこが悪いのかを調べること」というイメージを持たれるかもしれません。もちろん、それも大切な目的の一つです。しかし、当院が評価で知りたいのは、それだけではありません。身体はどのように動いているのか。どの動作で症状が出るのか。左右で違いはあるのか。押した時の反応はどうか。こうした情報を一つひとつ確認しながら、「今、この方のお身体では何が起きているのか」を整理していきます。施術は、その評価をもとに組み立てていくものだと考えています。
YNSAでも大切なのは「身体の反応」です
YNSAは頭部へ施術を行う方法ですが、頭だけを見て施術をしているわけではありません。施術の前には、お身体の状態を確認し、施術後にはもう一度同じ動きや症状を確認します。
首は動かしやすくなったのか。痛みはどのように変化したのか。身体の動きに変化はあるのか。こうした変化を患者様と一緒に確認しながら、次の施術につなげていきます。
また、1番の評価基準として「腕」で身体の状態をみます。不調の原因を探る中で腕の各部の圧痛を確認して、鍼を刺した後に押して痛かった腕の変化を確認します。これがYNSAの特徴のひとつです。痛みだけでなく、確たる評価基準があるので施術の成功をしっかり確認できます。
つまり、YNSAは「頭に鍼をすること」が目的ではありません。施術によって身体がどのように反応したのかを確認し、その反応を次の判断に活かしていくことが、とても大切な考え方だと感じています。
毎回同じ施術にならない理由
「前回と同じ場所に鍼をしないのですか?」このようなご質問をいただくこともあります。身体の状態は、毎日の生活や仕事、睡眠、疲労の蓄積などによって少しずつ変化しています。そのため、前回と今回で同じ症状があっても、お身体の反応は同じとは限りません。
もし毎回同じ施術だけを繰り返してしまうと、その日の身体の状態に合わないこともあります。だからこそ、当院では毎回お身体の状態を確認し、その日の反応を見ながら施術を組み立てています。
私が施術で大切にしていること
施術をしていて感じるのは、「患者様ご自身が身体の変化に気付くこと」の大切さです。施術後に「首が動かしやすくなった」「さっきより身体が軽い気がする」と感じていただけると、ご自身でも身体の状態を意識しやすくなります。逆に、大きな変化がなかった場合も、その事実は次の施術を考えるうえで大切な情報になります。
良い反応も、思ったような変化が出なかった反応も、どちらも施術を進めるための大切な評価です。私は、この積み重ねが一人ひとりに合った施術につながると考えています。
まとめ
YNSAというと、「頭に鍼をする施術」というイメージを持たれることが多いかもしれません。しかし、当院では施術そのものだけではなく、その前後でお身体がどのように変化したのかを確認する「評価」をとても大切にしています。
症状だけを追いかけるのではなく、お身体全体の状態や反応を確認しながら、その方に合った施術を考えていくことが、私たちの基本的な考え方です。「どうして毎回身体の動きを確認するのだろう」と疑問に思われていた方も、その理由を少しでも知っていただけたなら幸いです。
これからも患者様と一緒に身体の変化を確認しながら、一人ひとりに合わせた施術をご提案していきたいと考えています。